適宜追加の予定
昔々、北関東のあるところにお爺さんとお婆さんが暮らしておりました。お婆さんは腰を
痛め、ひと月前から寝込んでいますので、かわりにお爺さんが川に洗濯に行っています。
婆「いつもすみませんねえ」
爺「それは言わない約束だろ」
婆「はて、いつそんな約束しましたっけ?」
爺「してないけどー、こういう時の常套句で言ってみたんだよ!」
婆「そんなわかりにくい気づかいされたらかえって疲れちゃうんですけど」
お爺さんはお婆さんの不作法な言葉に憤慨しながらも洗濯に出かけました。
役人「お爺さん、この川は環境保護の観点から洗濯洗剤の垂れ流しは禁止なんですよ」
爺「けん坊じゃないか?お前、役所で働いているのか?」
役人「この地区にも下水道が整備されたことは知っているでしょう?早くひいて下さい」
爺「うちは昔から洗濯は川、洗剤は酵素パワーのトップと決めておるんじゃ!」
役人「そんなことは役所の知ったことじゃないんです」
爺「けん坊も変わってしまったのう…虫採りに連れて行ってやったあの夏を忘れたか?」
役人「夏?」
爺「「♪なーつがすーぎーかぜあざみーだれのあこがれにさまようー」
役人「ふっ、とにかく下水道ひいて下さいね。嫌なら差し押さえに行きますよ」
怒りにふるえたお爺さんは、さっきのお婆さんとの喧嘩のことなどすっかり忘れてしまいましたとさ。
めでたしめでたし。
教訓:怒りは新たな怒りによって塗りかえれる。